ご飯(お米)は太るの?
食べると太りそうというイメージからお米はダイエットには敬遠されがちです。歴史をさかのぼって日本人とお米の関係を見て行くと、日本では少なくとも弥生時代からお米のもとになる稲を栽培していた記録が残っています。昔からお米は身体にとって必要であることを体感的に認識していたからこそ、日本人は太古からお米を食べ続けてきたわけです。戦前の日本人はエネルギーの60%を糖質から摂っていましたが、その時代の人に肥満体型はあまり見当たりません。戦後、お米の消費量は減っていますが肥満が増えているのは、食の欧米化によって肉、卵、乳製品など動物性の食品に含まれる飽和脂肪酸の摂取量が増加したからです。お米中心の食生活に動物性の脂質が加わったことで肥満が増えたのです。お米自体は決して悪者ではなくバランスを良く考えて食べることが大切なのです。
お米の糖質は?
以前に主要な食べ物を角砂糖に例えた場合どれくらいなのかを調べてみました。角砂糖1個あたり糖質は約3〜4gとわ言われていて、ご飯1杯(150g)を糖質換算すると56g程度になります。
品目 | 角砂糖換算 |
ご飯1杯(150g) | 14個 |
焼きそば1人前 | 18個 |
食パン(6枚切り)1枚 | 6.5個 |
せんべい1枚 | 1.25個 |
かつ丼1人前 | 38個 |
カップラーメン1食77g | 10.8個 |
ショートケーキ1個150g | 16.4個 |
ポテトチップス1袋60g | 8.2個 |
ピザ1ピース(1/8カット:平均的な80gで換算) | 10.2個 |
ドーナツ | 7.15個 |
糖質は穀類やイモ類、砂糖、果物などに多く含まれる栄養素で、体にとって重要なエネルギー源として活用されています。消費者庁が作成した栄養素等表示基準値(2015年)によると、日本人における1日あたりの炭水化物の目標摂取量は320gとなっています。炭水化物は糖質と食物繊維を合わせたものですが、糖質摂取量のひとつの目安です。
お米を食べても太らない摂取量と摂取タイミング
糖質(炭水化物)と聞くと=太ると思われがちですが、糖質には様々な種類があります。、果物に含まれている果糖などのように、これ以上分解できないという小さな単位の単糖や砂糖など2糖は単糖類が2つ結びついたものがあります。単糖類がたくさん結びついたもので多糖があり、お米の主成分であるでんぷんがこの多糖になります。同じ糖質でも、消化吸収が速く血糖値が急上昇しやすい単糖や2糖に比べると、お米のでんぷん(多糖)はゆっくりと分解消化されて、玄米などでは食物繊維も含むため血糖値の上昇が穏やかなので私たちの身体に負担をかけず、腹持ちもよくて体脂肪にもなりにくいという特徴があります。 でんぷんは消化によってブドウ糖に変化します。肝臓の働きのひとつに、ブドウ糖をグリコーゲンとして変換して一定量を貯蔵する仕組みがあります。ストック量には上限があり、個人差がありますが1食でストックできる糖質の量を溢れてまうとその分が体脂肪になるということなので、食べ方に気を付ければ糖質をゼロにする必要はないのです。
1回の糖質摂取量に加えて糖質を摂るタイミングに気をつける事で、太らないようにするコツがあります。 グリコーゲン(貯蔵にために変換されたブドウ糖)は少しずつ分解されて減っていきます。どのくらいの時間をかけて減るかと言うと、摂取してすぐにグリコーゲンになるわけではなく、食べてから消化吸収と血液循環をして貯蔵されるまでには2時間ほどかかります。2時間以降から1時間ごとに血糖として10~15gずつ減少します。例えば、朝食で65gの糖質を摂ったら2時間はグリコーゲンは減らずにそのまま食後2時間以降から10~15gずつ減っていくということになりますので、昼食は少なくとも4時間後以降が望ましく、食べる時間帯によって食べる量も考える必要があります。 グリコーゲンは、残量が30〜60%になると体脂肪の燃焼が活発になるので、こうした仕組みを理解し糖質の摂取量とタイミングを調整しつつ食べることが痩せやすい体質を手に入れる鍵になります。夕食は就寝予定時刻の最低でも2時間30分〜3時間前には済ますというのは、こうのような仕組みを理解した上で私自身もダイエットとして取り組んでいます。
糖質について正しく理解しよう
ブドウ糖は、人の活動に必要なエネルギー源として使われます。正常に動ける体を保つには血糖値を90~100mg/dlに維持する必要があります。摂取したブドウ糖はグリコーゲンに変換されて肝臓に蓄えられ、食後少しずつ分解することで血糖値をコントロールしているからです。 無理な糖質制限によってグリコーゲンのストックが減ると、筋量の低下や代謝の低下など不具合も起こります。 体は肝臓に蓄えたグリコーゲンが底をつく前に、筋肉を分解してたんぱく質(アミノ酸)を肝臓でブドウ糖に変換してエネルギー源として利用します。しかし肝臓グリコーゲンが枯渇して、たんぱく質の分解が進むと筋量は減り、歩く、走る、物を持つといった日常動作に支障をきたす可能性があります。さらに悪化すると食べ物を咀嚼ができなくなるケースも稀にあります。そうなると次には体脂肪を分解してケトン体に変換して利用します。 体はこのようにブドウ糖に代わるエネルギー源を総動員してなんとか血糖値を保とうとしているのです。血糖値の維持は生きるための必須事項で、ブドウ糖が欠如すると体が筋肉まで分解してしまいます。生命を維持するために大切な栄養素なのだということを知っておくことが大切です。
インスリンとは?
糖質を摂取し食後に血糖値が上昇すると、それに反応してインスリンというホルモンが膵臓から分泌されます。インスリンにはどのような働きがあるのでしょうか。
1.ブドウ糖を肝臓と筋肉にストックする
2.筋肉のエネルギー源になる
3.たんぱく質(アミノ酸)が筋肉に取り込まれるのを促進して筋量を増やす
インスリンが分泌されることで筋肉の働きが維持されるほかに肝臓のグリコーゲンが減少した際に筋肉を分解して血糖値を維持できるのです。インスリンを分泌できるのはブドウ糖だけなので、極端な糖質オフダイエットは生命を維持する体の機能に支障をきたす可能性があります 極端な糖質制限の生活を続けるとベースのインスリン分泌(基礎分泌)さえ低下してインスリン基礎分泌による筋力維持効果が失われて筋力が低下、老化も加速し、美しくいるためのダイエットのはずが、痩せているだけで若々しさや健康美とは程遠い状態になってしまいます。またインスリンは血管の柔軟性を保つ働きがあるので、分泌量が減ると血管が硬くなり細胞に栄養素や酸素が行き届きにくくなり、冷え性や肌の乾燥やしわなどの原因にもなります。インスリンは、血管新生と言って既存の血管から新たな毛細血管を作り出す力も備えた優れたホルモンでもあります。トレーニング中に糖質制限をしていると、インスリン不足により血管新生が行われず筋肉に栄養が十分に行き渡りません。栄養不足の筋肉は弱く肉離れを起こしやすくなるのです。
最後に
お米をはじめとする糖質は、糖の種類や量などを理解して考えて食べれば太ることはありません。現在は低糖質米やこんにゃくなどを混ぜて糖質量をさらに落としたお米も売られています。ダイエットしていてお腹いっぱい白米を食べるのが難しい人の救世主です。食事量を減らすことなく、糖質の摂取量を落とすことができます。今の体の状態に必要な栄養素を理解して偏ることのない健康的な食生活を送りましょう。